東海大学 工学部精密工学科 槌谷研究室
槌谷研究室の紹介

研究室の概要 ■槌谷和義の紹介 ■研究室・連絡先
■研究室の概要

 HMS/DDS用メディカルデバイスマイクロマシンとはその字の如く“小さな機械”です。
人が直接作業できない場所、たとえば、ヒトの体内で動作するためには極小の機械が必要ですが、モータや歯車を駆使した機械の“サイズ(寸法)”を“切ったり削ったり”という手法で小型化するには限界があります。 そこで、この研究室ではモータや歯車を用いることなく、ナノテクノロジー技術を用いて、熱や電気を力に変えることができるスマートマテリアル(機能材料) の開発や、体内に埋め込むことのできる生体にやさしい材料の開発、さらには、サイズ、形状の自由度を高くするための小型化(薄膜化)技術の開発をテーマに研究を行います。 また、“蚊を模倣した”痛くない注射針(マイクロ針)の開発、極微量な血液を採取するマイクロポンプや血糖値などを検出する酵素固定化センサシステムの開発を目的とした研究も行います

■Bio-MEM用自動血液採取システムの開発
 現在,糖尿病患者は全世界で1億5000万人,日本でもその予備軍を含めた人数は,成人の6.3人に1人に当たる約1620万人に上ると報告されている.予備軍を含む糖尿病患者は,その糖尿病が引き起こす合併症を防ぐためにも,インシュリン等の投薬により適切に血糖値をコントロールする必要がある.現在,糖尿病患者は日に数回,外径数百ミクロンの注射針により血液を採血し,その血液を分析することで血糖値を計測し,その結果に応じたインスリン量を投与している.しかし,その血糖値測定は,糖尿病患者にとって大きな外径を有する針の穿刺,数μlの血液吸引,およびセンシングという複雑な手動作業のため負担が大きい.したがって,糖尿病患者の負担を軽減させることを目的とした,高い測定精度を有する自動採血・センシング・マイクロデバイスの開発が急務である.

 “蚊を模倣した”痛くない注射針(マイクロ針)の開発や極微量な血液を採取するマイクロポンプや血糖値などを検出する酵素固定化センサシステムの開発は,医用工学,機能材料学,超微細化工学を応用した一例である.
主な研究テーマは,以下の6つに大別できる.
1. 新規生体適合圧電材料薄膜創製
2. 形状記憶合金および圧電材料のマイクロアクチュエータ創製
3. スパッタリング法を用いたナノメートルオーダの表面粗さの改善
4. スパッタリング法を用いた“蚊を模倣した”マイクロ針創製
5. マイクロポンプおよびマイクロセンサの開発
6. 血中健康指標マーカ(血糖値等)用酵素センサシステムの開発

 目的とするBio-MEM用血液採取システムにおけるマイクロアクチュエータの一つである,形状記憶合金薄膜を用いたアクチュエータの吸引実験の様子を以下に示す.

 
■担当教員の紹介
槌谷 和義
(つちや かずよし)
身分: 准教授
学位: Ph.D
学歴: 英国国立ウォーリック大学
専門分野 ナノテクノロジー技術を用いて,モータや歯車を用いることなく熱や電気を力に変えることができるスマートマテリアル(機能材料)の開発や,体内に埋め込むことのできる生体にやさしい材料の開発,さらには,サイズ,形状の自由度を高くするための小型化(薄膜化)技術の開発を目的とした医用工学をはじめ,機能材料学,超微細化工学を専門としている.
研究内容 今日,医学に応用し得る工学技術,そして福祉への工学応用技術の必要性がますます高まっている.ソフトウエアのみならずハードウェアの面からの,人に優しいシステム設計法の開発,人にとって肉体的・精神的に快適な材料設計法,ならびにその材料の特性に適した加工・創製法の開発は,人間性を重視したこれからの新しい工学の基本的課題であり,かつキーファクターであると言える.
超微細加工が可能なスパッタリング法は,形状記憶合金や圧電材料の機能材料の創製及び、ナノ・マイクロメートルオーダの3次元加工を用いたマイクロアクチュエータの創製が可能であり,その技術に大きな期待が寄せられている.現在すでに可能となった,蚊の針を模倣した外径60μm,内径25μmの血液採取用チタン製マイクロ針の創製などはその一例である.そのような技術を用いた次の2つの研究課題を行っている.(1)人,及び動物・昆虫の生体から機能を学び,それを模倣することで,人に優しい薬物投与システム等のMEMSの設計法と加工法,及びその制御法を構築,(2) ハードウェアの面からも人に優しくかつ柔軟性ある材料の重要性とその必要性が極めて高いことから,生体適合性を有しかつハイパワーな機能材料の設計法と創製法である.
主な所属学会 日本機械学会
精密工学会
主な論文・著書 槌谷和義,中西直之,米田泰一,上辻靖智,森幸治,仲町英治:Bio-MEM用自動血液採取システムの開発,日本機械学会論文集(C編) 71巻,702号,p.603-609,2005年

槌谷和義,北川俊明,上辻靖智,仲町英治,RFマグネトロンスパッタリングによるマイクロアクチュエータ用PZT薄膜創製技術の開発,日本機械学会論文集(A編),71巻,701号,p.66-72 2005年

槌谷和義,北川俊明,奥田雄二,仲町英治,マイクロアクチュエータ用PZT薄膜創製技術の開発,日本機械学会論文集(A編),69巻,687号,p.1601-1605 2003年

槌谷和義,Sam T Davie,イオンビームスパッタ法を用いたTiNi形状記憶合金マイクロアクチュエーターの薄膜形成,精密工学会,Vol.68,No.1,p.83-87 2002年
E-mail esrmr@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp
連絡先 0463-58-1211(湘南校舎) 
EXT (槌谷:4396 12号館:4410 17号館:4389)



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